限定解除とは何かを整理する
「限定解除」とは、すでに持っている二輪免許に付いている制限(AT限定、中型まで、小型までなど)を取り払い、より幅広いバイクに乗れるようにする手続きの総称です。たとえばAT限定普通二輪をMT普通二輪に、普通二輪を大型二輪へ、あるいは小型限定を普通二輪へといったケースが典型例です。
最短ルートは教習所で所定の追加教習を受ける方法で、技能試験に合格すれば学科は免除となります。もう一つは運転免許試験場で一発試験に挑む方法ですが、合格率は10%前後と言われ、試験課題を事前に練習できる環境がないと難易度はかなり高めです。
限定解除後は排気量の壁が取り払われるだけでなく、タンデム走行や高速道路の利用範囲も一気に広がるため、ツーリングスタイルの可能性が大きく広がります。
必要教習と費用を比べる
教習所での追加教習は、AT→MT普通二輪の場合が技能4時限、AT→MT大型だと技能6時限が基本です。普通二輪から大型二輪へのステップアップは技能9〜12時限ほど(学校によって差があります)。費用は入所金込みで3万〜7万円台が目安で、夜間・土日を選ぶと割増になることが多いです。これに対して試験場の一発試験は受験料2,600円前後、試験車両使用料1,450円前後、交付料2,050円など総額1万円弱で済みますが、不合格のたびに受験料がかさむため、3回落ちると教習所と同等かそれ以上になる計算です。
教習所では学科が免除され、技能試験も所内コースで完結するため、仕事帰りに通いやすい夜間コースや短期集中プランが人気です。また教習は補習1時限まで無料といった特典がある学校もあるので、トータル費用をチェックする際は補習や再検定の上限設定を確認すると安心です。大型二輪の課題でつまずきやすいのが急制動と一本橋。特に一本橋は制限タイム10秒以上を求められるため、教習車の重さとクラッチミートの感覚に慣れるまで補習が必要になることも珍しくありません。
申し込み前に押さえたい注意点
まず年齢条件を満たしているか確認しましょう。大型二輪は満18歳以上、普通二輪は満16歳以上ですが、AT限定解除や小型→普通のように保有免許を取ってからの経過年数は問われません。
限定解除は追加取得ではなく既存免許の書き換えになるため、教習期間中にうっかり更新期限を迎えないよう注意してください。仕事が忙しい人は有効期限の延長申請をしておくと慌てずに済みます。装備は長袖・長ズボン・グローブ・ハイカットシューズが必須で、フルフェイスヘルメットを貸し出す教習所もありますが、サイズが合わないと視界が狭くなるので自分のヘルメットを持参すると安心です。
大型二輪の場合、教習車は総重量270kg前後あり取り回しで体力を使うため、教習開始前に引き起こし練習をしておくと腰を痛めるリスクを減らせます。春は入所希望者が増え予約が取りづらく、逆に梅雨時期は比較的空きが多い傾向があるので、待ち時間を短縮したいなら時期選びもポイントです。最後に、限定解除後すぐに大排気量車に乗る際は保険内容を見直しましょう。任意保険の車両保険や搭乗者傷害の上限額は排気量アップに合わせて設定されているとは限らず、見積もりを取り直すことをおすすめします。限定解除は新しい世界への扉。余裕のあるスケジュールとしっかりした準備で、ステップアップの喜びを安全に味わいましょう。