ブラインドカーブの特性を理解する

山岳ワインディングでは木立や岩壁で先が見えない急カーブが連続します。直線区間で得た速度を保ったまま進入すると、視界が開けた瞬間に想定外の半径の小ささや路面の傾き、落石、濡れた箇所に驚かされがちです。二輪は車体を倒しながら曲がるため、カーブ途中で驚いて強いブレーキをかけるとタイヤのグリップを一気に失い転倒につながります。

まず覚えておきたいのは「遅め進入・早め加速」という鉄則です。コーナーの入口で十分に減速し、視界が開けたところでスロットルを穏やかに開ければ、タイヤへの荷重移動がスムーズになり車体は安定します。また、目線を行きたい方向へ先送りすることで、腕や肩がリラックスし、望ましいラインをキープしやすくなります。冬季は朝夕の路面温度が低く、橋やトンネル出口付近は凍結しているケースもあるため、速度の上限は普段よりさらに下げると安全です。

安全なライン取りと視線移動

視覚が遮られる場所では「イン側を空け外側に寄せて進入し、apexを遅らせる」ライン取りが基本です。これにより対向車が膨らんできても回避スペースが残り、カーブ後半で視界が開いた時点でクリッピングポイントを迎えるため、加速に移る余裕が生まれます。ブラインドカーブ進入前には、左カーブなら道路左端から、右カーブならセンターライン寄りから入るのがセオリーですが、イン側の路肩に苔や砂利がある場合も多いので、タイヤ1本分外側を残す意識を持ってください。遠くを見ようとして首を大きく回しすぎると上体が内側に倒れすぎ、逆に旋回半径が小さくなります。顎を引いて目線だけを1秒先へ送るイメージで、進行方向に矢印を描くように視線を滑らせると自然に肩が開き、バイクは安定したバンク角を保ちます。

減速ポイントとリズムの作り方

ブラインドカーブでは「コーナー手前の路面変化」を合図に減速を完了させるとリズムが掴みやすくなります。
ガードレールが途切れる地点やセンターラインが実線に変わるタイミングでフロントブレーキを50~60%、リアブレーキを40~50%の割合でじわりとかけ、車体が起きたまま減速します。減速が終わったらクラッチを切らずに適正ギアまで落とし、エンジンブレーキを利用してフロント荷重を維持します。
これによりステアリングが切れ込みにくく、コーナリング中もフロントタイヤの接地感を感じ取れます。

雨の日は路面ミューが半分以下に下がるため、ブレーキ操作を2割程度軽くし、コーナー速度を更に10km/h落とすと安心です。複合コーナーが続く峠では「ブレーキ→ターン→アクセルオン」の3拍子を一定のテンポで繰り返すと集中力が途切れにくく、疲労も抑えられます。目安として、自分が気持ち良く曲がれる速度の8割で刻むと、突然の障害物が現れても1m以上の回避ラインを確保できます。休憩時にはタイヤのサイドウォール温度を手で触れ、冷たければペースが速すぎるサイン。自分とマシンのコンディションを対話する時間を挟みながら、山岳道路ならではの絶景とワインディングのリズムを楽しんでください。

また、標高1000mを超える高地では酸素濃度が薄くエンジン出力が数%落ちるため、アクセル開度が大きくなりがちです。ライダー側も軽い高山症で判断力が鈍る場合があるので、水分補給と深呼吸を忘れずに。ヘアピンカーブ手前にあるミラーは対向車の有無を映す安全装置ですが、雨粒や汚れで視認性が下がることがあります。走行中は注視しすぎず、チラ見で状況を把えましょう。

ブラインドカーブの先に停車車両がいる場合もあるため、見通しが悪い区間ではセンターラインを跨がない意識が命を守ります。もし予期せぬ障害物でフルブレーキが必要になったときは、車体を起こしてからブレーキレバーを握る「起こしブレーキ」を徹底します。倒れたままレバーを握るとフロントが一瞬でロックし転倒に直結します。日常から緩いカーブで練習しておくと咄嗟の場面で体が動きます。峠道を走り終えたら、フロントフォークのアウターチューブに汚れやオイルの滲みがないか点検し、ダンパーオイルの劣化を早期に発見しましょう。整備と走りの両面で「備えあれば憂いなし」を心掛けることが、ブラインドカーブ攻略の最後の仕上げです。ぜひ安全走行で満喫しよう。

山岳ワインディングのブラインドカーブ安全攻略